福島原発事故から考える

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著書と「赤旗」5月22日付に登場した安斎さん 安斎育郎さん(立命館大学名誉教授、同大国際平和ミュージアム名誉館長)による緊急書き下ろし「福島原発事故―どうする日本の原発政策」を読んだ。事故による放射能災害にたいし私たちはどうすべきか、日本の原発政策をどう考えるか―、放射線防護学という専門が生かされた納得の好著だ。

 安斎さんは反核の問題でも、超常現象の問題でも、科学的な知見にもとづいて行動され、多くの著作もある。1972年12月に開催された日本学術会議の第1回原発問題シンポジウムで、当時32歳の同会議原発問題研究委員会委員長だった同氏が、基調演説した中で提起した「6項目の点検基準」は当時の原発に関する市民運動に一定の影響を与えた、という。

 その同氏が、1962年にできた東大工学部原子力工学科の第一期生として原子力分野にかかわって50年、「原発政策批判に取り組んできたとはいいながら、結果的にこうした危機的な事態を招くことを防ぎきれなかったことに対し、地域住民の方々に心からお詫び申し上げたい」という痛恨の思いをこめ書き下ろした。

 「原発神話」を批判し続けた放射線防護学者が放射線と原発の原点からエネルギー政策を問い直す。放射線による被曝についても科学的な立場から事態を軽視せず、過度に恐れずと説き、原発の問題点を指摘しながら既存の原発の総点検、原発政策の再検討を提起する。

 そして、これからのエネルギー政策として電力貯蔵技術の開発、代替エネルギー技術の将来を見通し、国民的論議を巻き起こそうと強調する。かもがわ出版、本体1500円。

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