新年始まってすぐ、私の入っている新俳句人連盟鳥取支部の支部長、
野田賢太郎さんが急逝されました。
あまり突然で、悲しいよりもその成り行きに憤りのようなものを感じ、
そして、淋しくなりました。
以下は鳥取支部の会報のために書いた文です。
野田賢太郎さんの句から 石橋よし枝
春の灯や造影剤が走る腹部
会えば元気で若々しい気持に溢れていると感じた賢太郎さんも、思えば鳥取支部結成からの3年間に6カ月の入院、手術などがあり、平穏な日々ではなかったのですよね。この句の客観性とそれに相反することのない人間としての温かさがとても好きです。
歌が湧く避難所着のみままの初夏
「スローガンのような句は詠むな」とよく言われました。写実を詠むことで被災地応援のエールを送る句、力強い句です。
妻の愚痴拾うごとくに熟柿喰う
やっぱりこの句です。良いも悪いもともに越えて来た熟年夫婦の味。夫婦というものの先輩としてずっと忘れませんよ。