先日お勧めの「ゾウゾウのちから展」ー玉井詞(たまい・つかさ)絵画教室作品展、最終日に駆け込みました。
建設会社の依頼で長~いブロック塀に描かれた作品の写真もありました。
子どもが楽しくって走り回っても、とがめられない美術展です。
今年のわたしのお気に入りは、これ。国宝松江城が笑ってるじゃありませんか。
山田洋次監督の「母と暮らせば」を観に、夜の映画館に走って観てきました。
井上ひさしさんが書きたかった長崎の原爆の「母と暮らせば」、井上さんの娘さん麻矢さんの依頼に応えて、山田監督は「生涯に一番大事な作品をつくろう」と、この映画に取り組まれました。
父親の幽霊と語ることで、一人生き残った後ろめたさを振りきって前向きに歩きだす娘を描いた「父と暮らせば」。「母と暮らせば」は息子を失った母が、その息子の婚約者を新しい人生へと押し出していく話しです。井上作品とは違う味わいだけど、やっぱり泣きました。ハンカチ手に持っててよかった。
そして長崎の急な坂道の家、坂の上の上、山のてっぺんにある墓地、ケロイドのマリアの首のある大浦天主堂、平和記念像、かわいらしい長崎弁―など好きな長崎と、吉永さん演ずる母の着物姿(こんな風に普通に着物を着たいんだよね。)など、味わいました。
加藤健一さんのヘンな「上海のおじさん」は寅さんそのもの、いや生活力は寅さんよりずっとあるようですが。このおじさんの存在感が、強く印象に残りました。
アンパンマンーあんまりカッコよくはない正義の味方。あんぱんの顔を汚されたり、ひもじい人に食べさせてあげたりして、直ぐによたよたになりながら、新しい顔をつくって貰うとエネルギーが充填されて再び人を助けるアンパンマン。そして敵なんだけど憎めないバイキンマンが好きです。
加納美術館ー安来空億出雲に向かう山の中の小さな美術館を初めて訪ねました。
アンパンマンもちろん嬉しい。子どもさんが遊べるようにしてあるから、夏休みお勧め企画。
それもさることながら、静かなその環境にほっとしました。そしてその人の絵と備前焼などのコレクション収蔵のために美術館を建てたという加納莞蕾(かのう・かんらい)と言う人。布部村長の時代に、村民の一人がフィリピンで戦犯として裁かれ死刑になったことがきっかけで、在日フィリピン大使に元日本兵の釈放を何度も嘆願し実現した人だそうです。
平和を愛した莞蕾さんにも触れたこと、莞蕾(ほんのり膨らみかけた蕾の意)というのは人生や俳句の氏であった福島小蕾(ふくしま・しょうらい)さんにちなんだもの。その友に旦蕾(たんらいーまだ明けざる朝の蕾)さんがいたということなど、館長で莞蕾氏の四女佳世子さんが話して下さいました。
「こうして仕事に成功した」とかいう本が多いのですが、ときどき発見があります。
アンパンマンは子どもからお年よりまで、良く知られているヒーローですが、やなせたかしさんのことは、あまり存じませんでした。
「詩とメルヘン」というやなせさん編集の雑誌は、あまりに優しすぎると思って、そうそう開くこともないままに、いつかなくなっていた。
でもこの本に書かれた「正義」と「ヒーロー」に、つよく共感しました。
「アンパンマンは、世界最弱のヒーローだ。正義を行う人は強いひとかというと、そうではないと思う。普通に弱い人なんだと思う。でも、火事で子どもが焼け死にそうに・・・<中略>・・・こんなふうに、ちっとも強いわけではない。だけど、やらねばならないときには、勇気を出して戦う。それが正義だ。」「戦うときは、自分ひとりだと思わなくてはいけない。道連れをつくるのはよくない。どんな時にも責任は自分で負う覚悟が必要だ。」
こういう言葉に魅かれ、今読んでいます。