「俳句」カテゴリーアーカイブ

十薬―どくだみの花

十薬という名もある薬効のある花、どくだみの季節です。

今朝、日刊紙の配達の途中で、綺麗にさいているのを写しました。

かつて生家の門先の狭庭にも、八つ手の木の下に咲いていました。

今は生家は既になく、米子には親・姉妹もいなくなりました。

匂いが独特で、白い地味な花ですから、

子ども時代は格別好きではありませんでした。

今はその楚々とした花と濃い緑のハート型の葉が好もしい。

ところで、確かわが家にも、と探してみたら、

ありました。よく繁った木蓮や野茨の下に、雑草にめげず。                 

 

十薬の庭も生家も雨の中  よし枝

 

 

「真砂女」

今夜は市民劇場観賞会、朋友の「真砂女」でした。

一度は観たいと思っていた藤真利子さん主演。

周りを何かと騒がせながら、

実の娘も困らせながら、しかし

自分に真っ正直に生きた鈴木真砂女の生き方に、

熱い共感の拍手。

その実の娘さん、文学座のベテラン女優、本山可久子さんが語り手として登場。

「今でも心の中でお母さん、と叫んでいる」と語るラストシーン。

ぐっと来ました。

あの母子のように叩き合い、取っ組み合いはしなかったけど、

私も自分の生き方を通して娘を泣かせたことのある母親ですから。

夏帯や運切りひらき切りひらき

今生の今が倖せ衣被         真砂女               

春でした!

今朝のわが家は、連翹、白木蓮、黄色いラッパ水仙、

どれもこれも満開。

いつもよりも気の揃った一斉の開花です。

原発の凍るような風が吹こうが、

TPPの嵐が襲ってくるような嫌な雲行きがあろうが、

自然界は春爛漫です。

 

けれど膨らむ春を前に、子どもの心は複雑だったりしますよね。                                                     

    十四歳のふくれっ面春の宵   

                 よし枝

 

 

 

南部町で選挙です

今週9日告示された南部町の町長・町議会議員選挙の真っ只中です。

慣れない選対の仕事に全く余裕なく、blogも書かずにごめんなさい。

とりあえず俳句で。

   

    選挙応援粧い始む山越えて

     ビラ配り帰る頃止む秋時雨

    秋嶺に抱かれ挑む第一声                よし枝

多喜二の忌

2月20日は、小林多喜二が特高警察に捕えられ、虐殺された日(1933年)です。

多喜二が成長期を過ごし作家となり、啄木も住んでいたまち、そして小熊秀雄のふるさと、小樽。

一度だけ歩いた。また行きたいな。難しいけど、この多喜二忌のころに。

 

今日は米子市議会議員有志の「エネルギー・原発問題勉強会」の第1回、

鳥大・栗政先生にきていただき、島根原発事故シミュレーションソフトによる映像をみました。

私、2度目ですが、やはり直下の松江とともに境港・米子が危ない。

 

        風が撒く核とファシズム多喜二の忌            よし枝

        

俳句<春>・・・なんだけど、ね。

     雪の春稼働原発あと二つ                                       2010_1231_130439-CA390788

     雪積もる瓦礫そのまま春がきた

     雪の春まちに働く娘の背                   よし枝

 

 夜の間に音もなく積もった雪に今朝は驚きましたね。

 明日、関西電力・高浜3号機が停まると、残りは2機。

 東京電力・柏崎刈羽6号機が4月8日、

 北海道電力・泊3号機が5月6日に停止すると、日本全国の全ての原発が停まります。

 本当の春よ、早く来い!

     

     

野田賢太郎さんを偲ぶ

新年始まってすぐ、私の入っている新俳句人連盟鳥取支部の支部長、2011_1223_082829-IMG_0153

野田賢太郎さんが急逝されました。

あまり突然で、悲しいよりもその成り行きに憤りのようなものを感じ、

そして、淋しくなりました。

以下は鳥取支部の会報のために書いた文です。

 

    野田賢太郎さんの句から       石橋よし枝

  春の灯や造影剤が走る腹部

 会えば元気で若々しい気持に溢れていると感じた賢太郎さんも、思えば鳥取支部結成からの3年間に6カ月の入院、手術などがあり、平穏な日々ではなかったのですよね。この句の客観性とそれに相反することのない人間としての温かさがとても好きです。

  歌が湧く避難所着のみままの初夏 

 「スローガンのような句は詠むな」とよく言われました。写実を詠むことで被災地応援のエールを送る句、力強い句です。 

  妻の愚痴拾うごとくに熟柿喰う

 やっぱりこの句です。良いも悪いもともに越えて来た熟年夫婦の味。夫婦というものの先輩としてずっと忘れませんよ。

新俳句人連盟とっとりの第4回総会

冬晴れの16日、倉吉市へ。

「俳句人」鳥取支部の4回目の総会へ出かけました。

小さな会なのでささやかな事業報告

  ーでも全国的な句会へ出かけた3人の報告、そして雑草賞、連盟賞受賞の渡辺をさむ氏の話しで盛り上がり、

ささやかな会計報告のあと、活動をもっと広げるつもりで、年間会費の引き上げをしました。

 

そしてお楽しみの年一回一同に会しての句会。(普段はFAXのやり取りの紙上句会)

まる3年経ってお互いの作風や生活のことがよくわかってきた仲間の間で、

遠慮のない、そして暖かい句の評価、観賞が飛び交います。

  高得点句はなく、以下が2点句です。

  眼をはらす被爆牛にも藁をやる          英明

  妻に来た遠距離配転冬気圧           よし枝

  小春日の母の小言を拾いては          をさむ

  立冬や仮設薄暮に閉ざされて          よし枝

  冬菊の大鉢溢れる診療所             よし枝

  足腰の追い見透かされ星流る           賢太郎

 

そう高尚なグループではありませんよ。どうぞご参加ください。2011_1116_133647-IMG_0077

 

  

     

  

俳句・大震災

連休の締めくくりは、詠みたい、詠まなければともがいていた、                        2010_0417_103935-CA390244

震災・津波・原発の俳句。

     子も家も田も失せし地よ穀雨降る

     「てんでんこ」生き延ぶ子らに果ての雪

     津波禍の凍傷疼く指立夏

     哭く場所もなき避難所の日永かな          よし枝